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【番外編】時差とサマータイム(後編)

今年の日本の夏は暑かった。

 

2018年の7月は特に暑かった。

暑さで頭がやられたのか、
再来年、2020年の東京オリンピック(2020年の7月24日〜8月9日)は大丈夫か?
という議論が巻き起こり、

サマータイム導入やで!と検討が始まった。


TV番組のバイキングなどでは、マジメに議論がなされていたが、
なぜ、サマータイム導入の是非だけが議論されているのか意味がわからなかった。

もっと大会運営として、広い視野で議論しろよ、
そう思えたものである。


そう、今回の話はサマータイムである。

前回の話の続きで、国家は政治や経済や、
隣国との関係などを含めて標準時を自由に変えることができる国家の裏ワザの例、
後編である。
 
サマータイムは、
時計を1時間早めて、日の出から早く仕事をして、
明るいうちに帰って、夜を楽しもう、という施策で、

欧米では基本的には採用されてるものである。


サマータイムのメリットとして、
昼間仕事して、電気代を安くしよう、みたいな話もあるが、
どういう理屈で電気代が安くなるのか、未だによく理解が出来ない。


元々、サマータイムは緯度の高い国で、
夏の夜が長い北欧などには有効な施策だ、という話である。


学生時代にアメリカに留学し、サマータイムを満喫した人たちは、
「サマータイムほど合理的な仕組みはない」
とエラそうに語るが、それは欧米かぶれと思う。


サマータイムは、おおよそ、3月から10月末まで続くもので、
今回の旅行はちょうど終わり際であった。

正確にはギリギリサマータイムであった。


今回旅行に行った国のなかで、
・中国  過去に採用(1986年〜1992年まで 経緯などは不明)
・モンゴル  過去に採用(不明)
・ロシア  過去に採用(2011年まで実施=後述)
・バルト三国  現在も採用中
と様々であった。


ただ、旅行中には、ああ、今、サマータイムやっているな、などと感じることは一度もなかった。

最近のiPhoneなどは賢いので、自分で時間補正をするため、特に時計などを触ることもなく、
そもそもバルト三国がサマータイムなんだなーとかは滞在時には全く感じなかった。
では、世界的にはサマータイムはどうなっているのか?
下記の図を参照してほしい。

オレンジが、過去やっていて現在はやっていない国

が現在実施している国

が一度もやったことない国である。

 

これで見ると、世界各国ほとんどトライはしているが、

現在実施しているのはヨーロッパとアメリカが大半で、あとはそんなに多くないという印象を受ける。

 

赤道付近の国は、365日、さほど日の出と日の入りの時刻が変わらないこともあり、

過去一度も採用したことがない、というのはわかるが、

 

それ以外の国では、大抵、トライはしたが、辞めたというものが多く、

ヨーロッパとアメリカだけがやっているようなイメージがある。

 

 

ただ、例外的に

・イスラエル

・イラン

・シリア

などでもサマータイムが実施されている。

 

これらの国は地域も近く、エリアと宗教的な理由があって、実施をしているに違いない!

と推測をして調べてはみたが、なぜ現在行われているのかは理由がわからなかった。

(ただ、イギリスの委任統治から脱したタイミングからサマータイムを実施しており、

 欧米かぶれな可能性も少しあるようだ。)


※追記  ドバイに三年住んでた知人に聞いたが、ヨーロッパに近いからじゃない?とのことであった。

 

 

このように、

サマータイムは、世界的な常識でもなければ、そこまで理由があって行われている、

ということでもないような気がしてきた。

 

 

日本では騒がれたが、

世界では現在、サマータイムについては、どう議論されているのか?

 

 

じつは・・・。 

EUでは廃止に向かって今議論されている

 

「そもそも、時計を1年に2回動かすのダルいよね」という意見に同調し、

8割以上のEUの人々は廃止に賛成しているようである。

 

ただ、問題が何点かあり、

①PCのシステム上、すぐには変えられない。

②半年間サマータイムをとっているが、夏の時間を標準時にするのか?冬の時間を標準時にするのか?

 →そこを各国が決める必要があり、そこがまだ、決まらないという

というのが遅れている理由である。おそらく2020年以降にはサマータイム廃止はほぼ確定のようである。

 

この②の理由は、サマータイムを導入していない日本においては、わかりづらい話ではあるが、

先述したロシアでは2011年にサマータイムを廃止した際に、

サマータイム(1時間早めた時間)を標準時と合わせたが、

不満の声が多発し、2014年に冬時間を標準時に直した。(モスクワ夏時間参照

 

要するに、ちょっと前まで、ロシアの標準時間は異なっていたということである。

 

ロシアのサマータイムについて、詳しく書いたサイトがあるので抜粋。

実は、ロシアにもかつては、4月頃から10月頃まで時計を1時間早めるサマータイム制がありました。しかし、毎年春と秋に時間を切り替えるのはやはり煩雑であり、国民の多くはサマータイム制を嫌がっていたと言います。こうしたことに鑑み、サマータイム制は2011年に廃止されました。

ただし、その際に、エンドレス・サマータイムと言いますか、従来の夏時間を、今後は1年を通して適用するという形をとりました。ロシア政府は、従来の夏時間に統一した方が、経済の生産性やエネルギー効率も上がるし、国民の健康にも良いと考えていたようです。1時間早い夏時間が恒久化されたわけですから、この当時の日本との時差は、上掲の図に記した数字よりも、プラス1時間となりました。たとえば、日本とモスクワの時差は、5時間に縮まったのです。

2011年に夏時間固定を決定した当初は、ロシア国民の多くが賛成していました。しかし、実際にそれを施行するにつれて、反対論の方が強くなっていきました。当時の世論調査結果を見ると、「まだ暗いうちに起きるのは辛い」、「あまりに早く起きるのは健康や摂理に反する」といった反対意見が多かったようです。批判の声に押され、プーチン政権は2014年7月の法改正で、ロシア全体の時間を1時間遅くすることを決めました。つまり、かつての夏時間ではなく、かつての冬時間に合わせる形で、時間を固定することにしたのです。

さて、それでは私たちは、ロシアから何を学ぶべきでしょうか? 最も肝心なのは、時間を早めたり切り換えたりすることの是非については、おそらく「正解」はないということです。何らかの効果は期待できるかもしれないけれど、弊害もまた大きい。だからこそ、ロシアは最適解を求め、何度も制度変更を繰り返してきたのだと思います。

充分な検討やコンセンサスを経ないまま、都合の良い話だけを根拠にサマーターム導入が強行されるようなことがあれば、大きな禍根を残すでしょう

 

と、とても素敵な意見と合わせて詳細を書いている。

 

 

このように、いろんな国で、サマータイムの議論や論争やトラブルは起きている。

 

例えばエジプト。

現在はサマータイムは実施されていないが、つい最近まで、今年はやるのか?などと議論があった。

 

トラベルコの特派員サイトによると、2016年はこのような感じで実施が行われなかった。

 

去年も二転三転したのですが、今年は・・・

サマータイムするか不明
⇒4月28日からサマータイムになりまーす
⇒4月28日当日に「やっぱり7月7日(ラマダン後)からサマータイムにしまーす」 と発表
⇒6月30日に「ラマダンは7月5日に終わることになったので、7月5日からサマータイムね」と発表
⇒7月4日にエジプト議会がサマータイムは「しない」ことを決議

というわけで今年はサマータイムはなし!

しかし、ちょうどラマダン明けの祝日中だったこともあり、ほとんどの人は気に留めず

最近はパソコンやスマホなどの時間が自動で調整されるので、

勝手にサマータイムになってしまってビックリしても、

多くの場合、サマータイムになってしまったものは、

そのまま気にせず(手動調整せず)、1時間ずれたまま使い続けます(○´艸`)

というわけで、今年はエジプトでサマータイムは実施されていません

日本との時差は7時間。

と、超いい加減に国の時計が動いている笑。

 

逆に最近、サマータイムを導入し、辞めた国がある。

モロッコである。(昨今ニュースになっているが。)

 

2010年にモロッコに行った時は、サマータイムなどなかった。

9月頭にスペインから船でジブラルタル海峡を渡り、モロッコに行った際、

2時間時差が生じたのは覚えている。

 

調べると2012年からサマータイムを導入している。

2015年のモロッコ領事館の案内を見ると下記のように書いている。

 

要約すると、3月末からサマータイム始まるよ。

Ramaḍān(イスラム暦の9月)は、サマータイム中断ね。

Ramaḍān終わりからサマータイム再開ね。

10月末にサマータイム終了ね。

 

ということで、モロッコ国民は、1年で、

サマータイム→(ラマダンにより)標準時→サマータイム→標準時 

と、何度となく時計を触ることになる。

 

 

ただ、今年は、もっと大きな問題が起き、

サマータイム終わりに、

「はい、サマータイム時間を標準時にします!」と宣言したのであった。

(2018年10月の話である。)

 

これが、今、モロッコで問題になっており、抗議デモなど起きているようである。

 

なぜそうしたか?

ここからは推測であるが、

もともとモロッコはイギリスと同じ標準時で、近隣だと、ポルトガルと同じ時間帯である。

隣国のスペインは、前回の日記に書いたように、ドイツの標準時に合わせたため、

スペインからポーランドまでは、同じ標準時(イギリス+1時間)である。

 

サマータイムを標準時にすることで、このスペインやフランス・ドイツなどEUの主要国と同じ時間帯になり、

より、円滑に国際的な取引を可能にしようとしたのではないか?

と思う。

 

噂では、モロッコがEUに入りたがっているという噂も聞いたことがあるし、

2017年に32年ぶりにアフリカ連合に入るなど、土地的な利点を生かし、

ここ最近、グイグイとEUやアフリカ内での地位を高めようとしている。

 

現在、スペインとモロッコではエネルギーなどの関係での連携強化を図っており、

つながり強化のために、スペインに合わせに行っているのかもしれないなと感じるものである。

 

要するに、モロッコはここ6年で、サマータイムの制度を利用して、標準時を1時間ずらした国である。

 

ただ、スペインの時もあったが、東経15度を基準にした時間帯に合わせているため、

日の出がくそ遅い。それが、今、モロッコで問題になっている。

 

 

 

このように、

☆日本では、東京オリンピックのために、サマータイムの導入を検討

☆EUでは、そもそもサマータイムは廃止に突き進んでいる。

☆ロシアではサマータイムは廃止され、サマータイムを標準時にしたところ混乱し、修正。

☆エジプトでは、サマータイムをやるかやらないかも決まっていない。

☆モロッコでは、わずか数年でサマータイムを利用し標準時を変更。

 

と、サマータイムを通して、様々な施策とその問題点が世界では現在起きている。

と同時に、国は、地理に左右されず、国家の都合で時間を動かすことは容易であろうということはわかる。

このように、昔の話でなく、今まさにいろいろな現象が起きていること、

本当に面白いですね。

 

 

 

 

【余談】

たまに、「ところであなたの意見は?」ということを言われるが、

私個人としては、自分の意見はどうということはさほど重要ではないと個人的には思っている。

 

物事の判断をする際に、数少ない情報を元に判断するのではなく、

幅広い情報があれば、見えるものも変わるでしょう、その上で「皆様にはどう見えますか?」

ということを訴えることを元に、文章を書いている。

 

とはいえ、日本のサマータイムの導入について、少し書いてみたいと思う。

 

もし、導入されればどうなるか?

☆おそらく、暑さを嫌がる形で、ずっと続くのではないか?

☆じゃあ、韓国はどうなる?

という二つの問題が起きると思う。

 

おそらく、一度日本人はやってしまえば、涼しかったね、じゃあ今後も、という考えには至りやすいと思う。

 

次に、日本を忌み嫌っている?韓国は、アメリカ軍の要望もあり、135度線を標準時として日本と同じ時差をとっている。それがズレると、彼らが日本の標準時と取らなくてはならない理屈はなくなる。

・日本同様にサマータイムを導入して、合わせる

・敢えて、日本に合わせない形で、かといって日本の過去の標準時に合わせるのもシャクなので、

 変える可能性もある。

 

 

ただ、日本にサマータイムが実施されることの是非をいうと、

先進国として、堂々と構えるべきであり、他の国の真似をしなくてもいいのではと思う。

 

EUももはや、廃止に向かっており、アメリカに合わせるというより、自分たちの都合を優先しようとしたわけであり、世界の標準は自身で作っていくものであろうと思う。

 

「サマータイムは過去に日本でも実施されてました!」とかいう報道も見たが、

日本の独立(サンフランシスコ講和条約の締結)と同時にサマータイムは撤廃されたもので、

また採用することは、それこそ日本人の誇りはないのか、と思う。

 

 

そんな感じで、時間に関するコラムは終了し、

次回からはまた「旅行日記」に戻るとします。

 

(6日目につづく)